研究室だより 7月号(担当:毛)

投稿日:2023.07.10

投稿者: 共通田中研究室

ポストヒューマンスタディーズへの招待

みなさま、こんにちは。
今月のMEDIA & GENDER LABO.(田中東子研究室)ブログを担当させていただくM1の毛(まお)と申します。

これからのジメジメと暑い7月、熱中症には十分気をつけていただきたく思います。M1の学生生活は、まだまだ授業が中心で、毎日が新たな学びでいっぱいです。でも、フレンドリーなゼミの皆さんとコモンズで勉強したり、休憩時間にお菓子を分け合ったりすることで、勉強が楽しい時間となっています。さて、私の経歴について少し触れてみたいと思います。

学部時代には国文学を専攻しており、一番印象に残っているのは江戸時代の戯作と崩し字にチャレンジして勉強したことです。卒論は近代女性文学に重きを置きながら、尾崎翠の「こほろぎ嬢」を研究しました。
「こほろぎ嬢」における恋は一見すると一般的な規範に合致していないように見えますが、その中にはある種の活力やダイナミズムが秘められており、科学的/健康的/正常的な規範に疑問を投げかけていると解釈しました。「恋愛」について深掘り、「こほろぎ嬢」における恋に含まれるクィアネスはヘテロセクシズムの男女二元論図式を撹乱したのを読み取ってみました。もし機会があればぜひ尾崎翠の小説を手に取って見てください。

三、四年生の時、社会学、メディア学や人類学などの授業を聴いて、『出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ』(ナカニシヤ出版)の中の田中先生による文章が読んだのがきっかけで、「サブカルチャーの消費についてミクロ視点における個人的な快楽と生きる契機に止まらず、マクロレベルにおいて資本や政治的な権力の交差を考える必要もある」に対する理解を深め、知の社会的意味を再考するようになりました。そんな勉強をしていながら、私はずっとサブカルチャーや二次元文化などに対して興味を持っていて、偶然にもLGBTQ+当事者である友人がファーリーファンダムというサブカルチャーでの活動経験をシェアしてくれたため、擬人化された動物キャラクターに関心を向けるサブカルチャー・コミュニティであるファーリー・ファンダムを知るようになりました。
さらに約 80%のファーリ ー・ファンは自らを LGBTQIA+に属すと考えることが調査によって明らかになりました。これがきっかけで、メディア空間で交錯するジェンダーやセクシュアリティに関するマイノリティの実践に深く興味を持つようになり、これからはファーリーファンダムで活動するLGBTQ+ファーリーたちの実践を研究したいと思っています。

ポストヒューマンスタディーズへの招待

ポストヒューマンスタディーズへの招待

最近、ずっと気になっていた『ポストヒューマン・スタディーズへの招待』(堀之内出版)という本を読み始めました。この本では、トランスジェンダーのアスリートやフェムテック、さらには生殖技術など、現代社会で増えているトピックについて議論されています。
ポストヒューマン・スタディーズという領域は、テクノロジーの進化が社会や経済にどのように影響を与えているか、そしてそれが気候変動などの環境問題とどう結びついているかに焦点を当てています。それらの要素がどう組み合わさって、近代の「人間」のイメージや人間中心主義を挑戦し、新しい「人間であること」の意味を創り出すかを、この領域は探求しています。よかったら皆さんもぜひ手に取ってみてくださいね。