(写真:企画展入口・ニュースパーク入口)
みなさま、こんにちは!M1の十河(そごう)です。本郷キャンパスでも蝉の鳴き声が聞こえるくらいに、まだまだ残暑厳しい中ですが、いかがお過ごしでしょうか。今年は、7月の暑さが過去100年間で最も暑かった年と言われ、そして、9月1日は関東大震災から100年という節目の年でもあります。様々な顔を持つ自然との関わりの中で、今、穏やかに暮らせていることへの有難さのようなものを、日々感じることが増えております。
今回の、MEDIA & GENDER LABO.(田中東子研究室)ブログでは、8月に伺った「多様性~メディアが変えたもの・メディアを変えたもの~@横浜ニュースパーク」についてお伝えさせていただきます。
(写真:展示内容2枚)
会場となった、横浜市のニュースパーク(日本新聞博物館)のエントランスには、各地の新聞の一面がずらりと並んでおり、キャラクター「ブンぱくん」が迎えてくれていました。
展示室に足を踏み入れて、真っ先に目に入ったのが「近代日本と女性」のコーナーで、そこには、東京大学情報学環の林香里先生・映画監督の是枝裕和氏・元厚生事務次官の村木厚子氏のお三方による、本展示全体を表すようなメッセージがありました。ジャーナリズムや少数者・弱者への共感といったメッセージの中に、是枝監督の「多様な小さな物語を発信し続けることが文化を豊かにする」といったコメントがとても印象的でした。
『誰も知らない』『万引き家族』といったような、馴染みのあった映画の脚本の着想においても、作品を通じて多様な価値観を示していきたいという意図を知ることができました。入口から、明治、大正、昭和、平成といった時系列に、300点もの展示がなされており、「近代日本の格差、人権」といった、学生時代に社会の授業でも習ってきた様々な出来事や社会問題を、当時のとても古く貴重な新聞記事とともに振り返ることが出来ました。
そして、男女雇用機会均等法の成立した昭和以降の「メディアの中の多様性」のコーナーでは、実際に当時の女性記者の仕事内容に焦点を当てた映像もあり、変わりゆく時代の中での活躍や奮闘ぶりがとてもよく伝わってきました。中盤では、「次世代のメディアと多様性」というテーマにおいて、田中東子先生からも、社会の意識の高まりや世論の変化に繋がるような社会的課題を、SNSやデジタルコンテンツといった新しいメディア全般からも考えていく必要があるとのメッセージがありました。
展示コーナー全体として新聞やテレビといった部分がやはり多く、デジタルメディアに言及された部分は、さほど多くはなかったですが、これからの課題となる余白のようなものが沢山あるとも感じられました。
(写真:付箋・風景)
最後のコーナー「あなたの考える多様性は?」では、来場者がそれぞれに考える多様性を付箋に書いて貼る場所があり、各人が思うところの「多様性」が多種多様な言葉で表現されていました。私も好きな言葉でもある「十人十色」(ten people ten colors)を記し、会場を後にさせていただきました。
ジェンダー平等や性的少数者(LGBTQ)のほか、ハンセン病に関する過去の新聞記事を取り上げている場所もあり、多岐にわたって本テーマとその意義を考える機会となりました。
そして、進化するメディアの中で「多様性」を意識していくことは、自身の所属するインターネットメディアの業界においても、多くの示唆があると改めて感じました。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。まだまだ暑さも続く日々ですが、皆様くれぐれもご自愛ください。
(写真:書影)
『ジェンダーで学ぶメディア論』(林香里教授・田中東子教授)世界思想社:2023年3月
学府のHPのマイブック(https://www.iii.u-tokyo.ac.jp/research/230818mybook)でも、各章の紹介がなされていますが、今回のブログで取り上げた「多様性とメディア」という観点から読んでみても、本テーマへの理解を深められる一冊になっています。
本著では、新聞やテレビといったマスメディアや、SNSやインターネットのデジタルメディアにおいて、ダイバーシティやジェンダー視点に基づく様々な切り口から語られています。