研究室だより 2月号 研究と季節の歩み〜春に向かって〜(担当:十河)

投稿日:2024.02.14

投稿者: 共通田中研究室

写真1 雪が積もった東京大学 福武ホールの隣に佇む雪だるま
写真1 雪が積もった東京大学 福武ホールの隣に佇む雪だるま

写真1 雪が積もった東京大学 福武ホールの隣に佇む雪だるま

 

こんにちは、M1の十河(そごう)です。立春を過ぎ、だんだんと日が延びて春めいている感じがします。今年は、4年に1度のオリンピックイヤー&うるう年という特別感のある2月ですが、東京都心でも本格的な大雪が降り積もり、本郷キャンパスでは雪だるまが笑顔で迎えてくれていました。今回は、学際情報学府の授業について紹介させていただきます。もし来年度に入学される方々がいらっしゃれば、ぜひ参考にしていただければ嬉しく思います。

学府の授業は、主に春学期(4月〜)と秋学期(10月〜)の2つの時期に開講され、多岐にわたる必修科目・選択科目が展開されています。大きく分けて「思考系」と「表現系」があると感じており、「思考系」は特定の題材やテーマを血肉とするために、輪読やグループワークを通じたプレゼンテーション、そして、「表現系」は、例えば、制作展やスタジオ実習に向けた、モノづくりやメディア表現を多様なメンバーと学んでいきます。今回はその中から、今年度履修した下記の3つの授業を紹介させていただきます。

 

① 文化・人間情報学研究法2(思考系)
前田幸男先生・永吉希久子先生の授業で、先行研究の読み方、質的・量的な手法の理解、参考文献の参照方法、倫理的な観点の必要性など、リサーチデザインの基本的な知識を網羅的に学ぶことが出来ます。また、各回には関連の先生方が来られて、より本質的な部分の理解にも繋がります。そして、最後の課題では、互いの研究計画に学生同士でフィードバックを行うことで、自身の研究を客観的に捉えることができ、とても有意義な機会でした。

 

② 文化・人間情報学基礎1(思考系)
田中東子先生の授業で、今年度から新たに開講された本講義では、デジタル化やAIアルゴリズムに伴う、新しい研究を展開する上での知見や理論枠組みを学んでいきます。グループワークでは、資本主義や格差などテーマを決めて、単に分析調査にとどまらず、複数の著書からグループごとの独創的な結論を導き出します。また、各自の研究計画の発表を通じて、改めて自身の研究を見直し、より良いものへと進化させることができます。

 

上記の2つは両方受けてみると、重なり合う部分もあり、研究において必要不可欠で時代に即した知見が得られる、まさに両輪のような構成になっていると感じました。また、私自身、入試出願時の研究計画を変更したのですが、その際にもこれらの講義から有益なアドバイスや考え方のヒントをいただきました。

写真2 書影:知の集約と多様性に富む情報学環の授業

写真2 書影:知の集約と多様性に富む情報学環の授業

 

そして、最後に紹介させていただくのが、

③ メディアスタジオ実習2(表現系)
NHKの現役プロデューサーでもある渡邊悟先生から、バラエティ番組制作におけるイロハを学ぶことが出来ます。そして、学生同士で企画を持ち寄り、最後には情報学環のメディアスタジオを使って、実際に映像作品を作ります。アイデア出し、企画構成、スタジオ実習など、個性あふれる素敵なメンバーで協力しながら、『ラーメン道』という名店探訪記、ラーメンマニア垂涎の素晴らしい作品が完成しました。特に、こちらの授業は、多岐にわたるメンバー全員での活動が中心となり、チームワークもどんどんと良くなり、最終的な作品の高い完成度に帰結したような気がします。詳細をメディアスタジオのHPでも取り上げでいただいております(https://mediastudio-utokyo.com/2024/01/30/studiows2-2023/)。

写真3 本郷にあるラーメンの名店 中華蕎麦にし乃

写真3 本郷にあるラーメンの名店 中華蕎麦にし乃

 

いかがでしたでしょうか。私自身、入学前や入学当初は、修了単位数を意識した必要最低限の講義履修をしようと考えていたのですが、面白くて糧となるような授業が学府には沢山あることに気づき、途中からは、好奇心の赴くままに履修をしてみました。一見、関連性のないバラバラに見えるような学際的な講義の数々も、研究を進めていく上で有機的に繋がり合っていると感じることが多々ありました。学生は大学院以外の様々な活動もあり、時間も限られていると思いますが、目下の授業に楽しく真剣に臨んでいくことが大切だと改めて感じました。あと2ヶ月もすれば、桜も咲き、キャンパスも春の装いとなり、新入生もすぐに授業が始まったり、履修登録を行うことになると思います。
ふと出会った1つの授業から、何か気づきが得られたり、視野が広がったりと、研究の花が少しずつ開いていくのかも知れません。